家族信託のことなら東京・新宿のカリーニョ行政書士事務所

最近注目されている相続の仕組み=家族信託

遺言書では対応できないことにも、多くのケースでうまく対処できる家族信託について、以下の順番で説明します。

  1. 最近注目されている相続の仕組み=家族信託(このページ)
  2. 家族信託と遺言の比較、向いているのはどちら?
  3. さまざまなケースで、家族信託だから実現可能に!

■遺言では認知症になったときに大変!

 長年、大手企業に勤めていた喜八郎さん(82歳・以下、人名はいずれも仮名)は、妻のリツ子さん(78歳)とふたり暮らし。父親から相続して4人の弟妹と共有になっている土地に、自分名義の自宅を建てて住んでいます。

 喜八郎さんは「元気な今は自分で財産管理したい。でももし自分が認知症になったら、財産を処分してサービスの充実した有料老人ホームに入りたい」と思っていますが、認知症になってしまったかつての同僚がいて、いろいろ見聞きするうちに成年後見制度の下では、財産の処分はとても難しいことがわかってきました。


 その同僚に成年後見人がついたとたん、お金に事欠くようになって、同居の奥さんをはじめ周囲が困り果てているとも聞きました。「息子が孫を連れてきたときにおもちゃを買ってやるお金も引き出せない。お小遣いも渡せない」と奥さんは嘆いていたそうです。

 なぜそんなことになったのでしょう? 後見人は義務として「被後見人の財産保護のみ」と限定されているので、必要最低限の生活費以外は支出が認められません。家庭裁判所が選任するので、親族がなるとは限らず、法律や福祉の専門家がつくことが多いのです。

 結果として、預貯金から入院費用を出すことは認められても、住居などの財産を動かすことは非常に難しくなります。


 本人が望んでいて親族も認めていても、家庭裁判所から選任された後見人は財産を認めない、いわゆる「財産の凍結」という事態が現実に起こっています。喜八郎さんのように、土地が共有になっている場合は、かなり大変になると予想されます。

 喜八郎さんの望みは、「元気な今は自分で財産管理をして、後見人が必要になるような場合には、信頼できる姪に自己の財産の管理活用をまかせることにしたい」ということです。

 こうしたケースでは、「法定後見制度」では対応できません。もちろん「遺言」も死亡するまで効力ないので不適当ですが、家族信託の利用によって意志はしっかりと実現可能になります。


■どんな財産が信託できるの?

 家族信託する財産は、通常、不動産、預貯金がメインですが、株式を信託したいという方もいるでしょう。いずれの財産も信託できますが、注意しなくてはいけないのは、特別な「信託口口座(しんたくぐちこうざ)」を開設する必要がある点です。「信託口口座」にしないと、生前贈与と見なされて課税対象になったりする恐れがあるからです。

 預貯金は銀行、株式は証券会社の「信託口口座」にそれぞれ預けることになりますが、「信託口口座」を開設できる銀行・信用金庫が数行程度(下記参照)、証券会社はさらに少なく、共和証券、野村證券など対応可能です。


 信託財産に土地を含める場合、委託者から受託者に、信託に基づく所有権移転登記をします。その際、登録免許税がかかりますが、評価額の1000分の4(平成31年3月31日までは軽減措置で1000分の3。延長の可能性あり)となっており、贈与の場合の1000分の20に比べて非常に安いです。

 土地を含めて家族信託を考えてる場合は、ご一考ください。


■「信託口口座」が開ける銀行・信用金庫は?

 信託口で預貯金をすることのメリットとして、倒産隔離機能があります。これは、受託者が仮に破産しても、信託目的財産は差し押さえの対象にならないということです。


 このような口座であると明確にわかるためには、単なる受託者名義ではなく委託者〇〇受託者××という口座名義にするのがいいです。では、どこの金融機関でそのような名義が作れるのでしょうか。

「信託口口座」を開設できる銀行・信用金庫は多くはありませんが、まず、銀行では、三井住友信託銀行が、一定条件付きで可能です。また、信用金庫では、城南信用金庫、西武信用金庫等が可能です。ただしいずれも厳しい条件があります。


■全財産を信託しなきゃいけないの?

 いえいえ。家族信託は各家族の事情に合わせて自由設計ができます。したがって、どの財産を信託財産にするかも自由に決められます。

全財産を信託した場合 財産の一部を信託した場合
メリット ・財産の整理ができる。
・信託終了後、信託財産の帰属先を決めることで、遺言と同様の機能を持たせることができる。
・現在、必要としない財産だけを信託するので、自己で管理できる範囲が大きい。
・気持ち的に気軽に信託を利用できる。
デメリット ・全財産を委託するので、自分の自由になるお金がまったくなくなる。
・契約書作成時の金銭負担が大きくなる。
・信託中、信託財産だけでは足りない場合が出てくる。

■費用はどのくらいかかるの?

 行政書士報酬の目安です。

信託財産の評価額 契約書作成費用(コンサルティング料を含む)
1億円以下 0.5%(最低額20万円)
1億円超3億円以下 0.3%+20万円
3億円超5億円以下 0.2%+50万円
5億円超 0.1%+100万円

 その他公正証書作成費用、登記手続依頼料(弁護士、司法書士依頼料)、登録免許税等かかる場合があります。


 詳しくはこちらまで


→次ページ:家族信託と遺言の比較、向いているのはどちら?